【完】 After Love~恋のおとしまえ~

そう憤慨したけれど……いったん別れたももちゃんとサトシの仲が復活した理由が

「サトシがぎっくり腰になったとき、駆けつけたのが私でなくももちゃんだったから」

なのだと聞いたとき、私の心は諦めの色に染まった。


あのとき、確かに私はお料理教室を選んだ。

サトシに「料理教室が憎かった」と言われても仕方ないのかもしれない。

きっと私は、優先順位のつけ方を間違えたのだ。

サトシのためにいつも予定を空けておく必要なんてなかった。

だけど、彼が有事のときだけは、何をおいても駆けつけるべきだったのだ。


沖縄の海で波に流されたとき、

「私が有事のとき、サトシは助けてくれないに違いない」

と思ったけど……

サトシの有事のときに、私も助けなかった。

あのとき、私は「お料理教室が終わってサトシの部屋に行くまでの三時間くらい、待っていてもらえばいいかな」と思ってしまったけど……

「されど三時間」だ。

本人は辛かったに違いないのに、私は後回しにしてしまった。

それが、ももちゃんとの仲が復活するきっかけだったのだとしたら……

私にも責任がないわけではない。

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