【完】 After Love~恋のおとしまえ~
お茶に誘ってくれた翔さんは、その言葉どおり、私をカフェに連れて行った。
お酒を飲む場ではなかったところが、誠実で真面目な人のような印象を受けた。
お互いのことを話してみると、私と翔さんは、不思議な縁を感じるほど隣あって生きてきたことが分かった。
隣の市に生まれて。
隣り合った駅で習い事をして。
隣り合う国の言葉をそれぞれ学び、大学時代に隣り合った国に留学した。
もっとも、私が遊び半分の短期留学だったのに対し、翔さんは本格的な長期間の留学だったようだけど。
翔さんはドイツ語が好きで、いつかドイツで働くのが夢なのだと語ってくれた。
「友里ちゃんの夢は何?」
そう聞かれて、言葉に詰まった。
私の夢は……
長らく、サトシのお嫁さんになることだったから。