【完】 After Love~恋のおとしまえ~


お茶に誘ってくれた翔さんは、その言葉どおり、私をカフェに連れて行った。

お酒を飲む場ではなかったところが、誠実で真面目な人のような印象を受けた。


お互いのことを話してみると、私と翔さんは、不思議な縁を感じるほど隣あって生きてきたことが分かった。

隣の市に生まれて。

隣り合った駅で習い事をして。

隣り合う国の言葉をそれぞれ学び、大学時代に隣り合った国に留学した。

もっとも、私が遊び半分の短期留学だったのに対し、翔さんは本格的な長期間の留学だったようだけど。


翔さんはドイツ語が好きで、いつかドイツで働くのが夢なのだと語ってくれた。

「友里ちゃんの夢は何?」

そう聞かれて、言葉に詰まった。

私の夢は……

長らく、サトシのお嫁さんになることだったから。
< 298 / 595 >

この作品をシェア

pagetop