【完】 After Love~恋のおとしまえ~
翌日は朝から曇り空で、サトシが来たときには、小雨が降り出していた。
呼び出された場所に行くと、傘をさしたサトシが下を向いて立っている。
「サトシ」
私の声に、サトシがはっとした顔で振り向いた。
それから――
サトシは傘を放り出すと、いきなりその場で土下座をした。
「ちょっと、サトシ!?」
「申し訳なかった!」
サトシは頭を下げたまま、そう謝ってくる。
「今さらこんなこと言っても、もう受け入れてもらえないかもしれいけど。それは分かっているけど……俺、友里とやりなおしたい」
「……!?」
思いもよらない展開に、頭の中が真っ白になる。
「このとおり、許してほしい」
深々と頭を下げるサトシを、私はただ、呆然と見つめていた。
静かに降り続く雨の音だけが、辺りを覆っていた。