【完】 After Love~恋のおとしまえ~
雨の中での土下座。
サトシがそんなことをするなんて、夢にも思わなかった、
雨の中の土下座。
その状況に、少しも心を揺さぶられなかったといったら嘘になる。
「もういいから、顔を上げてよ」
「本当か? いいのか? いいってことは、やり直してくれるってことか?」
サトシがぱっと顔を上げた。
私の言葉を短絡的に解釈するところが、なんともサトシらしい。
「そういう意味じゃないけど」
私が否定すると、サトシの顔が再び曇った。
サトシが散々してきたことは、そう簡単にすべてを許せるようなことではない。
だからと言って、土下座を続けてもらっても仕方がないわけで……
「車の中で話さない?」
話を聞いてあげるくらいの余地は、ないわけではなかった。