【完】 After Love~恋のおとしまえ~



サトシの部屋に着いたのは、ちょうど花火が始まる時刻だった。

急いでベランダに向かうと、大きな音を響かせながら、色とりどりの花火が真正面に上がった。

「綺麗……」

「あー、これで友里が浴衣を着ていたら最高だったのにな」

まだ言うか。


花火の打ち上げが終わると、サトシは満足気な顔でこう言った。

「いやー、満喫できたな。でも友里、まだ花火観たりないんじゃないか?」

「え?」

「ちょっと待ってろ」と部屋に入ると、サトシは花火の袋を手に戻ってきた。

「友里のために花火を買っておいたんだ」

私のために、サトシが花火を? 

「……ありがとう、嬉しい」

「どれからやろうか。じゃあ、はい、まずはコレ!」

サトシは袋から一本の花火を取り出すと、私の手に持たせ、それからおもむろに、マッチをすった。

「……って、ちょっと待ったー!」
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