【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「花束を職場に送られるのは、家に送られる以上に困るんだけど」
「そうか、じゃあ今度からは俺が持参するよ」
「それもやめて。そんなことよりサトシ、どうしてこんな時間にこんなところにいるの? 仕事は?」
「……体調が悪いって言って、早退してきた」
そんな嘘をついて仕事を早退するのってどうかと思う、と私が非難すると、サトシが視線を落とした。
「本当に体調が悪かったんだ。友里とこのままダメになるのかと思ったら……不安で不安で具合が悪くなってきたんだよ」
「……」
「頼むから、車に乗ってくれよ。話がしたいんだ。……頼むよ」
深々と頭を下げるサトシの肩が、小刻みに震えていたから。
少し迷った後、私は彼の車に乗り込んだ。