【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「なぁ、何か欲しいものないか。俺にして欲しいこと、ないか」
青信号になり、車を発進させながら、サトシが再び尋ねてくる。
「何でも言ってくれよ。友里のために何かしたいんだ」
「私、もう他に好きな人がいるの」
「それは聞きたくない」
好きな人の心が自分以外の誰かに向いている……
サトシに対して私がさんざん味わってきた気持ちを、サトシも今、味わっているのかもしれない。
「俺、何でもするから」
切なげな声で、そう言ってくれるサトシ。
こんな日が来るなんて、思ってもみなかった。
私の気持ちを取り戻すために、サトシがこんなにも必死になってくれる日が来るなんて。
……悲しいね。
ほんの少し、タイミングが違っていたら、私たちの未来は、重なったかもしれないのに。