【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「謝らないでくれよ、悪いのは俺なんだから」
「あ、それはもちろんそうよ。私も悪かったけど、サトシの方がより悪かったのは間違いない」
浮気は浮気だからね、と、深刻な雰囲気を吹き飛ばしたくて、わざと冗談めかして言った。
「そっか」
私の口調に、サトシの表情も緩む。
「そうよ」
私はわざと、口を尖らせてみせた。
それから私たちは、視線を合わせて、ふっと笑い合う。
付き合っている間も、別れてからも、長い間私の心の奥底で渦巻いていたもやもやとしたものが、すーっと消えていくような気がした。
それはまるで、晴天の冬の朝に、太陽の光が、積もった雪を溶かしていくかのごとく。
サトシが私をそっと抱き寄せた。
「俺たち……やり直せるよな?」
私はそんなサトシの胸をそっと押し返し……
「ううん、それは無理」
静かに首を振った。