【完】 After Love~恋のおとしまえ~
ペンギンを証人にしよう、などとと真顔で言うサトシがおかしくて。
少し笑ってから、私はベンチから立ち上がった。
「幸せになる。サトシも幸せになってね」
そっとサトシに右手を差し出す。
「元気で」
「友里も。……遠くから友里の幸せを祈ってるから」
サトシが
「さよなら」
と、私の右手を握りしめたとき――
このぬくもりを手放したことを後悔しないよう、絶対に幸せな未来を掴もうと思った。
そしてサトシにも、私に負けないくらい、幸せな未来を掴んで欲しいと願った。
サトシ。
サトシ。
大好きよ、さよなら――
サトシが東北の病院に転勤になったと結衣子さんから聞いたのは、それからほどなくしてのことだった。