【完】 After Love~恋のおとしまえ~

ペンギンを証人にしよう、などとと真顔で言うサトシがおかしくて。

少し笑ってから、私はベンチから立ち上がった。

「幸せになる。サトシも幸せになってね」

そっとサトシに右手を差し出す。

「元気で」

「友里も。……遠くから友里の幸せを祈ってるから」


サトシが

「さよなら」

と、私の右手を握りしめたとき――

このぬくもりを手放したことを後悔しないよう、絶対に幸せな未来を掴もうと思った。

そしてサトシにも、私に負けないくらい、幸せな未来を掴んで欲しいと願った。


サトシ。

サトシ。

大好きよ、さよなら――


サトシが東北の病院に転勤になったと結衣子さんから聞いたのは、それからほどなくしてのことだった。

< 333 / 595 >

この作品をシェア

pagetop