【完】 After Love~恋のおとしまえ~
翔さんは、いつも重そうなカバンを持っている。
「一体何が入っているの?」
尋ねてみたところ、中身を見せてくれた。
そこには、分厚い本が入っていた。
翔さんは常に勉強が必要な仕事をしていて、そのための本なのだという。
「だけど、デートの日には必要なくない?」
「待ち合わせ場所に来るまでの電車の中で読んで来たから」
翔さんは勤勉だ。
翔さんは、私の書いた文章を読みたがってくれる。
「これ、書いてみたんだけど」
ある日、勧められて書いてみた童話を照れながら翔さんに差し出しすと、「おっ、読みたい、読みたい!」と満面の笑みでそれを受け取り
「さっそく読んでもいい?」
と、その場で読みはじめた。
カフェのテーブルを挟んだ向こう側で、真剣な表情で私の作品をめくる。
「面白かったよ。とくにラストの展開が意外性があって良かった。友里ちゃんらしい、可愛い物語だね。また他の話も読んでみたいなぁ」
翔さんは、私にやる気を自然と起こさせてくれる人。