【完】 After Love~恋のおとしまえ~
目を閉じて、最後に会った日の彼の姿を思い浮かべた。
思い出の彼の姿は、今でも鮮明に、私のまぶたの裏に焼きついている。
春風が、優しく頬を撫でていった。
そのときだった。
「……友里?」
背後から、私を呼ぶ声が聞こえた。
それは、かつて大好きだった人の声。
小さく息を吐いてゆっくりと振り向くと。
昔と変わらない彼の姿が、そこにあった。
彼の笑顔が、そこにあった。