【完】 After Love~恋のおとしまえ~


「そこのスーパーも、変わってないね」

マンションのすぐ近くに立つスーパーも、変わらない様子だった。

私の言葉に、サトシもそちらへ目を向ける。

「あのスーパーで一緒に買い物をして、友里が俺の部屋で料理してくれたこともあったな」

「そうね」

「でも、友里の料理で一番うまかったのは、あれだな、カツサンド!」

「ピクニックに作っていった、あれね」

「ああ」

「今だから言うけど、あのときサトシがカツサンドをカモにあげちゃって悲しかったのよ」

「え?」

「せっかく作っていったのに、どうしてカモにあげちゃうのよって思った」

「ごめん。そっか、確かに俺、カモにあげてばっかりだったよな」

「少しくらいならいいけど、自分が食べるのも忘れてカモにあげるのはひどいよ。私が早起きして作ったのは、カモのためじゃなくて、サトシに食べてほしかったからなんだからね」

「ごめん。あのときその場で言ってくれれば良かったのに」

「確かにね。あのとき、あの場で言うべきだった」
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