【完】 After Love~恋のおとしまえ~

それから

「……そうなんだ。それは、さらに意外だったな」

小さく笑って、髪をかきあげた。

「どうして意外?」

首を傾げた私に視線を戻すと、サトシはむくれたように唇を尖らせてみせた。

「だって、いつだったか俺が東北の系列病院に転勤になりそうになったとき、一緒に行こうと言ったら怒ったじゃないか。同棲するために行けるわけないって」

「あれは、東北に一緒に行こうっていうのがプロポーズの言葉かと思ったのに、そうじゃなかったからガッカリしただけ」

「なんだ、そうだったのか」


もしもあのとき、サトシが本当に東北へ転勤になっていたら。

「そのときは、しょうがないから結婚しよう」

あの言葉どおり、サトシは本当に私と結婚していたのだろうか――
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