【完】 After Love~恋のおとしまえ~
マンションからサトシの職場だった病院へは、そう遠くはないものの、何度も角を曲がる。
けれど――
「道って、意外と忘れないものみたいね。なんとなく歩いていても、どこで曲がるか、ちゃんと足が覚えているみたい」
「そうだよな。俺もさ、友里の家までの道、もう覚えてないかと思ったけど、ちゃんと覚えてたし」
サトシの言葉に違和感を覚えた。
「ちゃんと覚えてた……って? なにそれ、まるで、行ってきたみたいな言い方」
くすりと笑った私の前で、サトシがきまりの悪そうな表情をした。
「え、もしかして……!?」