【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「お待たせしました」
注文した品が運ばれてくると、私は、たっぷりとのったウィンナコーヒーのクリームをスプーンでゆっくりとかき混ぜた。
湯気の向こうに、サトシの微笑み。
時を経てもなお、やっぱり私の大切な人。
恋の想い出は、たとえそれがどんな恋だとしても人生を暖かく彩るものなのだと、いつかどこかで読んだけど。
今なら分かる。
これがきっと、そういうこと。
――なんて、私が感慨に浸っていたところ。
サトシがおもむろにスプーンで砂糖をざくっとすくったかと思うと、
「はい!」
その山盛りの砂糖を、いきなり私のカップに入れてきた。
「は!? 何するの!?」