【完】 After Love~恋のおとしまえ~


「お待たせしました」

注文した品が運ばれてくると、私は、たっぷりとのったウィンナコーヒーのクリームをスプーンでゆっくりとかき混ぜた。


湯気の向こうに、サトシの微笑み。

時を経てもなお、やっぱり私の大切な人。


恋の想い出は、たとえそれがどんな恋だとしても人生を暖かく彩るものなのだと、いつかどこかで読んだけど。

今なら分かる。

これがきっと、そういうこと。


――なんて、私が感慨に浸っていたところ。

サトシがおもむろにスプーンで砂糖をざくっとすくったかと思うと、

「はい!」

その山盛りの砂糖を、いきなり私のカップに入れてきた。

「は!? 何するの!?」
< 391 / 595 >

この作品をシェア

pagetop