【完】 After Love~恋のおとしまえ~
サトシは照れくさそうに、一瞬あさっての方向に視線を向けて。
それから、「実はさ」と口を開いた。
「怒られたんだよな」
「誰に? 何を?」
「俺が、あんまり道に迷うから。それで、その道に迷ったのを、彼女のせいにしたから」
「彼女?」
「今、付き合ってる子。彼女が、『道に迷うのを人のせいにしないで。方向音痴なのを自覚しろ!』って怒ってさ。それでカーナビを買ったら、彼女が先に使い方を覚えて教えてくれたんだ。あんまり便利だったから、結局両方の車につけたんだよ」
「へぇ」
私は、ゆっくりとウィンナコーヒーを口に運んだ。
サトシがドッサリとお砂糖を入れた、甘い、甘いウィンナコーヒーを。