【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「じゃあ、デートの時はもう一台の方が活躍するのね」

「そう」

「でも、本当に意外。その息子さんと、うまくやれてるの?」

「うーん、難しいね。仲よくなりたくて頑張ってるけど、いまだに、それほど打ち解けてもらってる気はしない」

「でも、頑張ってるんだ?」

「頑張ってるよ。なんとか懐いてもらいたくて。……彼女の大切なものは、俺も大切にしたいからさ」


ブラインドの隙間から差し込む西日が、サトシの髪を輝かせていた。

テーブルに置かれた二つのカップからは、湯気がゆらゆらと宙に吸い込まれていく。

サトシは西日に目を向けると、少しまぶしそうに目を細め、それから静かに口を開いた。
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