【完】 After Love~恋のおとしまえ~
シートベルトを締めると、サトシがエンジンをかけた。
すると、カーステレオから流れてきたのは――
「これって……」
私の好きな、そして、おそらくサトシは興味がなかった――
「友里、ピアノの曲が好きだったもんな。これ、最後に会った日にかけてたCDなんだ。覚えてる?」
「今でも持ってたんだ?」
興味のないCDなんて、とっくの昔に処分したかと思った。
「けっこう気に入って、たまに部屋でも聞いたりしてるんだ」
「ほんとに?」
「あぁ。なかなか眠れないときなんか、このCDを聞くと、なんか眠くなるから……」
「それって、気に入ってるっていうの? 単に、退屈で眠くなるだけじゃない?」
「あ、そっか」
くすりと笑い合う。