【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「お待たせしました」
飲み物と料理を運んできたウェイトレスに軽く会釈をしてから、「実は」とカナさんが話を続けた。
カナさんは、私にお礼が言いたくて会いに来たのだという。
サトシは、別れてからもずっと私とのことを引きずっていて。
罪の意識にさいなまれていたというのだ。
「だけど、この春に二人は再会して、過去のことを和解したでしょう? それで、今では友達のような関係になれてる。サトシは、ようやく過去の過ちを半分清算できて、少し肩の荷が下りたみたいです」
「半分?」
「……ももさんは、あそこの病院も辞めていて、もう連絡先が分からないみたいだから。でもね、半分でも、サトシが楽になれたら嬉しいんです、私も」
別れてから、もう何年も経っているのに。
そこまで罪悪感を持ち続ける必要なんてなかったのに。
「ね、食べましょうか、友里さん」
その場の空気を変えるようにカナさんが明るい声を出し、グラスを手にして、「乾杯」と小さく掲げた。