【完】 After Love~恋のおとしまえ~


結衣子さんは美波ちゃんを谷本先生の腕に預けると、そっと写真立ての裏ぶたを閉じた。

「これは捨てましょう、友里ちゃん」

結衣子さんがいたわるような優しい口調でそう提案したそのとき

「だめだ」

谷本先生が制止した。

「どういう目的の嫌がらせかは分からないけど、今後こういうことが二度とないとも言い切れない。今度何かあったときのためにも、証拠は保全すべきだよ」

「浩二ったら、何かあったときって、何があるっていうのよ」

「分からないけど。分からないからこそ、証拠はとっておくべきなんだよ」

「だけど……」

結衣子さんが私に目を向ける。

「こんなもの取っておくの、友里ちゃんだって嫌よね?」

「それは……」

確かにそのとおりだった。

「それなら、うちに持って帰って、うちで保管しておいてあげてもいい」

いずれにしても捨ててはだめだよと、谷本先生が念を押してきた。
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