【完】 After Love~恋のおとしまえ~


九月に入り、荷物の発送も終え、翔さん自身の出発の日も近づいてきたある日のこと。

「携帯はいつ解約するの? ぎりぎりまで必要よね。さすがに当日は無理だから、前日に解約に行く?」

私の質問に、彼は首を振った。

「いや、携帯は、海外使用ができるように手続きをして、持っていくよ」

「でも、携帯は向こうのを契約するでしょう?」

いつもの出張とはわけが違うのだから。

日本の携帯をいつまでも使うわけにもいかないだろう。

「そうだけど、向こうで携帯を契約するまでの間、必要だからさ」

そうして、出発ぎりぎりまで日本での仕事に追われた翔さんは、慌ただしくドイツへと旅立っていったのだった。
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