【完】 After Love~恋のおとしまえ~
私はそっと顔を上げ、結衣子さんの方を向いた。
「前にもこういうことありましたよね。結衣子さんが心配して会いに来てくれて、私が泣いたこと」
結衣子さんが「そうね」と、ゆっくり頷く。
「あのとき、私、サトシに浮気されて泣いてたんです」
「そう」
「もう二度とあんな思いをしたくなくて、だから正反対のタイプの人を選んだつもりだったのに……」
サトシみたいに、わけのわからない嘘をつかない人。
サトシと違って、誠実な人。
正反対のタイプだと思ったのに。
「でも結局、同じだったみたいです。同じ目に遭っちゃいました」
結衣子さんは谷本先生と目を合わせ、それから、そっと私の頭を撫でた。
「彼が、浮気したの?」
首を縦に振ったのと同時に私の涙腺は崩壊し、結衣子さんのハンカチにさらなる染みをつけることになったのだった。