【完】 After Love~恋のおとしまえ~
半年前に機種変更をした彼の携帯電話。
以前使っていたものは、彼の引き出しの中に保管してあった。
パスワードもかけていなかったその携帯電話のアドレス帳から、彼女の番号は簡単に見つけることができた。
そのことを告げたとき、結衣子さんの表情が曇ったことが、私の胸をきりりと痛ませる。
「あの……携帯を勝手に見たらいけないですよね、本当は」
叱られた子どものように肩を落とした私に、結衣子さんは、いたわるような瞳で首を振ってくれた。
「ううん。気持ち分かるもの。こんな状況の中、倫理や道徳なんて構っていられないわよね。私はただ、そこまで友里ちゃんが追いつめられて、本当に辛いんだろうなぁって思っただけ」
結衣子さんはいつも、私の気持ちを少し軽くする言葉をくれるのだった。