【完】 After Love~恋のおとしまえ~
すでにメイクも服も心構えも戦闘態勢に入っていた私にとって、三時間の待機時間は長く、落ち着かないものだった。
出窓に手をかけ上方を見上げると、高い空にうろこ雲が広がっていた。
本当のところ、こんな事態になってもまだ、翔さんが浮気をしたことが信じられない気持ちでいっぱいだった。
優しくて誠実な彼が。
外で他の女性と抱きあって、キスをして、その後、何食わぬ顔をして平然と帰宅していただなんて。
私の知っている彼とは、どうしてもイメージが重ならないのだ。
ここまで明確な証拠が揃っていても、それでも、どうしても。
この先、私はいったいどうしたら良いのだろう。
自分を裏切った相手を、再び信用することなど、果たしてできるのだろうか。
窓辺から離れると自分の部屋に行き、パソコンを立ち上げた。
パソコンのメールアドレスを開いてみると、彼からメールが届いていた。
ドイツでの日常などを綴ったのんきな内容と、この週末は何をしているのかという質問に失笑してしまう。
……この週末の予定?
今から、あなたの浮気相手に会いに行ってきますけど。