【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「そのノートに書いてあることは事実です。翔さんとは今でも連絡を取っているし、これからも取り続けます。いけませんか!」
開きなおったような態度で私を睨みつけてくる彼女を、私も負けじと睨み返す。
「いけません。主人は既婚者ですから。そもそも、既婚者と付き合って、謝罪の言葉もないんですか?」
「はぁ!? どうして私が謝るのよ。驚き。むしろそっちに謝ってほしいくらいなのに!」
「え!? 私の方こそ、『どうして私が謝るの』って驚きなんですけど!」
少し大きな声を出してしまったあと、周囲の席の人たちがちらちらとこちらに視線を向けていることに気づき、冷静にならなくては、と自分に言い聞かせた。
「私は妻。あなたのノートに書いてあることが事実だとすれば、あなたは浮気相手。だとすれば、謝るべきなのはあなたの方でしょう?」
静かにそう言った私に、「はんっ!」と彼女は鼻で笑った。
「妻とか言って。笑っちゃう。妻でいられなくなるのも時間の問題なのに」
「どういう意味ですか」
「言葉どおりの意味です」
彼女は立ち上がると、「聞きたいのなら、教えてあげる」と前置きをして、一気にまくしたてた。