【完】 After Love~恋のおとしまえ~


それから三十分近くに渡り、結衣子さんは私の泣きごとに耳を傾けてくれていた。

その間にも徐々に日は暮れてゆき、いつのまにか辺りの恋人たちはシルエットだけになっていた。

少し肌寒い風にあおられた枯葉が、乾いた音をたてながら足元を転がってゆく。


「――長々とごめんなさい。休日のこんな時間に、ご迷惑でしたよね」

今更ながら詫びる私に結衣子さんは「気にしないで」と言ってくれたけど、家族団らんの時間を邪魔してしまったことにようやく気がついて

「でも、もう切りますね。暗くなってきたし、私もそろそろ帰ります」

慌てて話を切り上げようとした。

しかし

「待って、友里ちゃん」

携帯の向こうから、結衣子さんが呼び止める。

「え?」

「まだ帰らない方がいいわ」

「どうしてですか?」

「それは……」
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