【完】 After Love~恋のおとしまえ~
結衣子さんは少し言いよどんでから、少しおどけてこう告げた。
「もうすぐそこに、ヒーローが登場する予定だから」
ヒーローと言われて一瞬サトシと翔さんの顔が頭に浮かんだけれど、サトシは東北にいるし、翔さんはドイツだ。
ここに来ることはありえない。
「ヒーローって、もしかして谷本先生が迎えに向かって下さってるんですか?」
しかし、結衣子さんの家からこの公園までは、車で一時間はかかるだろう。
結衣子さんに居場所を告げてからすぐに向かってくれたところで、まだあと三十分はかかるに違いない。
「浩二なら、ここで美波と遊んでるわよ」
「え? じゃあ一体……」
誰が、と言いかけた私の肩を、突然後ろから叩いた人がいた。
驚いて振り向くと、そこにいたのは――