【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「お話しがそれだけなら、これで失礼します」
母親がインターホンを切ろうとしたので、「ちょっと待ってください!」と慌てて声を振り絞る。
「とにかく、お嬢さんの書いたノートをご覧になってください。その上で、もう一度ご意見を聞かせてください」
しばらくの無言のあと、インターホンが切られた。
もう一度チャイムを鳴らそうかとも思ったけれど、考えられないほどに良識のない親に対して、これ以上何を言えば良いのか分からなかった。
諦めてサトシの方に戻ろうとしたそのとき――
がちゃり、と小倉家の玄関の扉が開いた。