【完】 After Love~恋のおとしまえ~
色々なことが、もう限界だった。
真相をはっきり掴めずに悶々としていることも。
彼に、何事もないような素振りでメールを返信することも。
直接会って話すことにこだわり続けて来たけれど、もう耐えられそうにない。
そんなことを考えながら頬を濡らしていた私に、「ごめんな」と、突然サトシが謝ってきた。
「え……何が?」
「こういうとき、肩を震わせてる友里のこと、抱きしめてあげるべきなのかなって思う。優しく抱きしめて、慰めるべきかなって。だけど俺、ここで友里のことを抱きしめたら、自分のことを軽蔑するから。ごめん」
「謝らないでよ。サトシが、同情から誰かを抱きしめたりするような人じゃなくなって、むしろ嬉しいんだから」
このサトシの成長ぶりはなんなのだろう。
カナさんがここまで成長させたのだろうか。
「友里」
サトシが真顔で私に視線を向けてきた。
「俺たちさ、よりを戻してみようか」
「え?」