【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「西表島に行こう」
サトシが唐突にそんな電話をかけてきたのは深夜だったので、着信音で起こされた私は、何の話かとベッドの中で目をこする。
実はその前日、サトシは、西表島旅行より戻った友達から「すごく楽しかった」と旅の模様を聞いたそうで。
人の話に影響されやすい性格上、いてもたってもいられなくなったようだ。
「俺、もうすぐ夏休みだしさ。友里も休み取れるだろ? 西表島へ旅行しよう」
初めての旅行のお誘い。
しかも沖縄、西表島。
南の島で、ラブ・バカンス!
想像するだけで胸が躍り、私はベッドから飛び起きた。
「うん、行きたい!」
二つ返事で了承した私に、サトシはこう頼んできた。
「俺は仕事で忙しいから、いいツアーがないか暇人の友里が調べておいてくれる?」
暇人、というサトシの言い方に少しカチンと来たけれど。
「了解」
旅行に誘われたのが嬉しくて、そこはスルーしてあげる。