【完】 After Love~恋のおとしまえ~


ピクニック、と言っても、シェリーの散歩をしながら少し遠くの公園まで行っただけのようだけど。

その日の彼女は、とても楽しそうにはしゃいでいたという。

彼女の押しの強さに困惑しながらも、それでも、あんなに幸薄そうな彼女が楽しそうにしていることに、彼の奉仕的精神は満たされていたようだった。


「そのときは、友里に対して申し訳ないと思う気持ちはなかった気がする。自分の中では、浮気じゃなくてボランティアの感覚だったから……ごめん」

「他の女とピクニックに行ってる時点で、私にとっては十分浮気だよ」

「そうだよな、ごめん」


ピクニックの最後には、彼女は再び彼に抱きついてこう迫ったという。

「恋人同士は、デートの最後には抱きあってキスをするんでしょう?」

弱り切った彼は、彼女の背中に軽く手を回し、額にキスをしたのだそうだ。


「それ、流されすぎでしょう! ボランティアでそこまでするのって、おかしいよ、どうかしてる!」

「ああ、どうかしてた、ごめん……」
< 553 / 595 >

この作品をシェア

pagetop