【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「それにしても、こんな事態の緊急帰国なのに、お土産を買うなんて余裕なのね」
せっかく買ってきてくれた彼に、可愛げのない嫌味をぶつけてしまう。
「だって友里、以前出張帰りにお土産がなかったとき、残念そうな顔をしたことがあったじゃないか」
「そんなことあったっけ」
「あったよ」
小さなことまでよく覚えていてくれる。
翔さんはそういう人だ。
いつだって、私に対しても、誰に対してもとことん優しい人。
でも……
「で? さっき、自分の話が本当だと証明するって言ってたけど、どうやって証明してくれるの?」
「いや、そうは言ってみたものの、どう証明すればいいのかなとさっきから思ってて……」
さっき威勢よく立ち上がったのは、単なる勢いだけだったようだ。
私は少し考えて
「今回の件、誰かに相談したりしてた?」
そんなことを尋ねてみた。
翔さんは親友の名をあげ、彼にだけは小倉さんのことをずっと相談してきたのだと言い添えた。
「だったら、その人に電話させて。話を聞いてみるから」
「……いいよ」
翔さんは携帯を取り出すと、親友の番号を表示させて私の方に携帯を差し出してきた。