【完】 After Love~恋のおとしまえ~
翔さんには、高校時代からの親友がもう一人いたのだそうだ。
しかし、付属高校から同じ大学に進学したその人は、大学二年の秋から突然大学に来なくなってしまったという。
翔さんは、理由も分からずに突然引きこもりになってしまったその親友のことを心配し、ずいぶん家を訪ねたそうだ。
けれどもその親友は、連絡手段を立ち、何度訪ねても会ってはくれなかったという。
アルバイトやサークル活動、授業のレポートや資格試験の勉強など、大学時代の翔さんにはやりたいことが山ほどあった。
時間をやり繰りしてその親友の家に通うも、会ってももらえない日々が続くうちに、次第に足は遠のいていったという。
「それでも、翔は十分頑張ったと思うよ。正直、俺は早々に諦めてしまったけど、あいつは長いことそいつの家に通ってたし。だから、結果的には諦めてしまったけど、あいつはやれることは十分やったんだ」
しかし、そのとき説得を諦めてしまったことは、その親友を見捨てたことになったのではないかと、彼の心にずっと暗い影を落としていたようだ。