【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「ところでさ、昔、俺が友里とやり直したいって会いにいったときに友里が言ったこと覚えてる? 俺がどんなに頑張っても、もう俺のことを信用することはできないって」
「うん、言ったね」
一度嘘をついた人と共に生きるということは、また嘘をつかれるかもしれないという不信感を常に抱えて生きるということだ。
だから、そんな選択はできないと思った。
あのときの私は。
「今回はどう? 程度は軽くても、十分浮気だと思っているわけだろ。だったら、もう信用できないって思うわけ?」
まっすぐに私の瞳を見つめるサトシを、私もまっすぐに見つめ返した。
「サトシを見ていたら、信用できるかもって思えてきた」
人の本質は変わらないと、私はずっとそう思ってきた。
でも違う。
人は、変わっていく。
サトシがそれを証明してくれたから――
これからまた、私は彼のことを信じて生きていくことができる。