【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「それで、友里はこれからどうするんだ?」
飲み終わったコーヒーの缶を足元に置きながら、サトシが尋ねてきた。
「ドイツ、行かないのか?」
「え……?」
答えの出ていない質問を突然投げかけられ、私が口ごもってしまっていたところ、息子さんを抱いてカナさんが戻ってきた。
「なんかねぇ、遊び疲れて眠くなっちゃったみたいなのー」
「そうか」と、サトシがベンチから立ち上がった。
「ホテルの部屋で昼寝でもさせるか。あ、俺が連れて行くから、カナは友里とここでもう少し話していくといいよ」
息子さんをカナさんの腕から抱き上げると、サトシは「じゃあな」とホテルに向かっていった。
カナさんは私の隣に腰を下ろすと、いい天気ですね、と空を見上げる。
それから、ゆっくりと私の方に顔を向け――
「あのね、友里さんに話しておきたいことがあるんです。私の話、聞いてくれますか」
そんな前置きをして、前のご主人のことをを話しはじめた。