【完】 After Love~恋のおとしまえ~
そんな小さな行き違いがありつつも無事に合流し、カフェ・リリーシュでお茶を飲んでいたときのこと。
私が幼少のころから習っているピアノの先生の話をしたあとで、
「だから私、先生のこと大好きなんです」
そう締めくくったところ、何を思ったのか、サトシが身を乗り出してきた。
「ほんとに? 嬉しいな、ありがとう!」
顔をほころばせてお礼を言ってくる。
何故サトシがお礼を言うのか分からず、私は首を傾げてしまった。
「俺、さっき待ち合わせで失敗しただろ? あれで嫌われたんじゃないかって、心配していたんだ。だから、そう言ってもらえて嬉しいよ」
「あの……?」
何の話だろうかと必死に頭を回転させる私の前で、サトシは小さく咳をし、こんな言葉を続けたのだった。
「友里ちゃんにだけ言わせるのもナンだから、俺も言うよ。……好きだ」
「え!?」