【完】 After Love~恋のおとしまえ~
体験ダイビングにはじまり、サイクリングやカヌーなど、「サトシの友達が体験したこと」を真似しながら過ごした西表島でのバカンスも、最終日となった。
最終日の午後は、私の希望で、ある浜辺に行くことになった。
そこは、星の砂が取れることで有名な場所だ。
「でも星の砂って、本当は砂じゃないんだぞ? 有孔虫っていう生き物の死骸だって分かってる? そんな死骸、欲しいか?」
あぁ、ムードぶち壊し。
「いいの!」
星の砂の正体は、本当は私だって知っている。
だけど、せっかくロマンチックなのだから、そんな事実には目をつぶっておきたい。
その浜辺で、私は用意してきた小瓶に砂を入れはじめた。
隣に座るサトシが海を眺めて「綺麗だなぁ」と呟いたので、「そうね」と同意したあと、「でも、綺麗な浜辺と言えばね……」と砂を入れながら話を続ける。