【完】 After Love~恋のおとしまえ~
世の中には、恋人に仕事を優先されて、
「私と仕事、どっちが大切!?」
なんて詰め寄る女の子もいるけれど……
私に関しては、そんな台詞を口にすることは絶対にないと断言できる。
私は、男は仕事が一番であるべきと思っているし、仕事よりも恋人を優先する男なんて、むしろ願い下げだ。
仕事のデキる男が好き。
だから私は、自分はサトシの中の二番でいいと思っている。
サトシにとっての一番は、医師の仕事であってほしい。
サトシの横顔に目を向ける。
白衣を着ていなくても立派な医師に見えるサトシが、ちょっと誇らしかった。
そうして、セミの声が響く中、サトシの電話は続いていて――
近くにある自動販売機が目に入った私は、飲み物でも買って来ようかと思い、車から降りようとドアに手をかけた。
しかし、次の瞬間、耳に入ってきたある人の名前に、私の動きはピタリと止まる。
「あ、ももちゃん、それからね――」
……ももちゃん?
今、ももちゃんって言った?