【完】 After Love~恋のおとしまえ~
サトシの誕生日を前に、私は彼へのプレゼントを考えていた。
消耗品ではなくずっと記念に残るものを贈りたいけれど、サトシはアクセサリーをするようなタイプではないし。
ロレックスを愛用している彼に、私が買える額の時計など無用だろうし。
おそろいのマグカップ?
それは、誕生日にあげるほどのものではない。
あまりに何も思いつかなかったので、サトシに欲しいものを聞いてみることにした。
「俺の欲しいもの? いや、別にいらないよ。腰掛け安月給OLの友里に買ってもらわなくても、欲しいものは俺が自分で買うし」
「腰掛け安月給だなんて、失礼ね」
サトシは何もいらないと言うけれど、誕生日だから何かプレゼントしたいのだと主張した私に、サトシは少し考えてこう答えた。
「じゃあ、靴かな」
「了解」
本当は、消耗品でなく、記念に残るものをあげたかったけど。