【完】 After Love~恋のおとしまえ~
誕生日直前の週末、私たちは銀座にやってきた。
初めての待ち合わせのときに、サトシが間違えて待っていたデパートに向かう。
そのデパートに入るとき、どちらからともなく顔を見合わせて笑ってしまった。
サトシの勘違いによりすれ違ったあの待ち合わせも……今では、私たちの大切な歴史の一つとなっている。
まだ暑さは残るものの、九月の街はすっかり秋色に彩られていた。
靴売り場に到着すると、サトシは靴を選びはじめる。
サトシの持ち物はどれも上質のものばかりだから予算は大目に考えていたのだけれど、サトシは、意外にも手ごろな価格の靴を選んだ。
たまたまそれが気に入ったのかもしれないけれど、もしかしたら私に気を使って、それほど高くないものを選んでくれたのかもしれない。