【完】 After Love~恋のおとしまえ~

支払いを済ませるとサトシは

「ありがとう。じゃあ今度は友里の靴を見ようか」

そんなことを言い出した。

私がサトシの靴を買ったから、今度はサトシがお返しに私の靴を買ってくれるのだという。

「サトシの靴は誕生日プレゼントだもん。私の靴をお返しに買う必要はないのよ」

「誕生日プレゼントは、安月給の友里が買ってくれたっていう、その気持ちだけでいいからさ。友里の靴、買おうよ」

だから、安月給っていうのは余計なんだけど。

だけど、私の手を引いて婦人靴売り場に移動しようとするサトシの背中を見て、ふいに思った。

安月給だなどという憎まれ口は、もしかしたら、不器用なサトシの照れ隠しなのかもしれない。
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