【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「友里はどんな靴がいい?」
「本当にいらないってば」
「いいや、買う」
言い出したら、サトシは聞かないのだ。
「ねぇ、サトシ」
私は立ち止まると、サトシの手を引っぱった。
「ん?」
「だったら……買ってくれるっていうなら、靴じゃなくて他のものでもいい?」
「いいけど?」
「私、靴じゃなくて、指輪が欲しいな」
「指輪?」
サトシの問いに頷いてから、急いで付け加える。
「露天で売っているような安いのでもいいの。……サトシから、指輪をもらいたいの」
女性にとって、指輪は特別。
値段は関係なく、たとえばそれが千円の指輪だとしても、それは私にとってどんなに高価な靴よりもずっと嬉しい贈り物だ。
私の言葉を聞いたサトシは、無言のまま、辺りを見回しはじめた。