生意気な彼は御曹司!?
7.別荘で……
都心から車を走らせ一時間ほどで到着した別荘のリビングで、真紅のバラのような色をしたワインが注がれたグラスを片手に乾杯をする。座り心地のいいソファで、長い足を組む斉藤くんの横顔を暖炉の炎が照らす。
彼の余裕ある仕草からは、普段から優雅な生活を送っていることが見て取れた。
「斉藤くんって……何者?」
「僕? 僕は好きになった女性をバツイチの男に奪われたチキン野郎です」
頬が火照るのは、ワインのせい? それとも暖炉の炎のせい?
ううん。違う。
「それって……」
「僕は、あなたが好きです」
斉藤くんに『好きです』と告白されたせい……。
謎が多すぎる年下の斉藤くんのことをもっと知りたいという願望が込み上げてきた時、彼は苦々しく眉間に皺を寄せた。
「僕は親切丁寧に仕事を教えてくれるあなたに惹かれた。それなのに、あなたはすでにあの男を好だった」
「どうして私と圭吾さんのことを知っていたの?」
疑問に感じていたことを、斉藤くんに尋ねる。
「あなたを見ていればわかりますよ。あなたはあの男のことばかり見ていたから……。だから僕はあの男の経歴を調べた」
「調べたって……どうやって?」
「そんなの簡単ですよ」
簡単って……まさか探偵に頼んだとか?
隣でワインを飲み干す斉藤くんの横顔を、じっと見つめる。