生意気な彼は御曹司!?
突然のキスに戸惑いつつも、次第に熱を帯びていくくちづけは、私の思考を狂わせる。
オフィスでこんなことしたらいけないのに……。
後ろめたさを感じつつも、清水部長の情熱的なキスを、どうしても拒めない自分がいた。
息が乱れ始めて、ようやくキスから解放される。
「で? オマエは誰を格好いいと思っているんだ?」
ついさっきまで重なり合っていた清水部長の唇が、意地悪に動く。
仕事中にもかかわらず、つい視線が向いてしまうのは、後輩の斉藤くんではない。
私が格好いいと思うのは……。
「……清水部長……です」
「ん、そうだよな。小雪(こゆき)」
ああ、そうか。私が清水部長に密かに想いを寄せていたことなんか、とっくにバレていたんだ……。
不意打ちキスで私の想いを受け入れてくれた清水部長の胸に、甘えるように頬を寄せる。ずっと好きだった人からキスをされ、名前で呼ばれるなんて夢のようだった。
斉藤くんに帰らないで欲しいと思ったのは、清水部長とふたりきりになる心の準備ができていなかったから。
でも今は、逞しい清水部長の胸の中が心地いい。
数年ぶりに訪れた幸せをじっくりと噛み締める。しかし、その心穏やかな時間は清水部長のひと言で、一転した。
「小雪。俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」
「えっ? 結婚を前提!?」
頭の上から降り注いできた衝撃的な言葉に驚き、顔を上げる。