インフォマニア・コンプレックス
「あ、はい。そうです。
 前に、掛かった心療内科でも、そう診断されました。」

「それに、あなたは、“ワーカホリック“も加わっている。
 つまり、“仕事中毒”です。」

「ええ、それは、先週まで掛かっていた精神科医に言われました。」

「より、正確にいえば、あなたの場合、ワーカホリックが、情報機器を
 手にしたことにより、インフォマニアになったという状況ですね。」

「それも自覚しております。
 でも、前にも伺いましたが、我が身を犠牲にして、一所懸命に働くことが
どうして、悪いことなのですか?

私は、自己満足と自己責任の範囲で、毎日、頑張っています。
もちろん、家族には寂しい想いをさせているかもしれません。

しかし、その分も私なりに、十分、ケアしているつもりです。

ベビーシッターの費用だって、ぜんぜん、バカにできないほど、
掛かるんです。

この前は、ずっとまとまった休みがとれなかったので、ようやく
娘を連れて、ハワイに行くことが出来たのですが、その時も、私は
熱が出たにも関わらず、娘と海に潜っていました。

私としては、常に精一杯やっています。
それなのに、どうして、病気にならなければいけないのですか?

その答えを、どこのお医者さんも出してくれないから、こうして、
こちらのクリニックにまで、わざわざ、時間を作って、来ているの
じゃないですか?私は、忙しいのに...。」

そう一気にまくし立てて、レイコは目にうっすらと涙を浮かべた。
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