インフォマニア・コンプレックス
しかし、彼女のプライドが邪魔してか、泣くまでには至らず、逆に、
 自分の理不尽な病状を治せない医者連中に対する怒りを砂場にぶつけて
 いるようだった。

 冴子が、そっとコーヒーを差し出す。

それにそっと、「ありがとうございます。」と会釈をして、
ハンカチを仕舞い、毅然として口をつけた。

その態度には、同性で自分より若い冴子には、自分が泣いている姿は、
死んでも見られたくないという、レイコの強い意志が現れていた。
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