インフォマニア・コンプレックス
“この娘の落ち着きは何? 相談者である私が時間通りに来ているのに、大して 悪びれもせずに、この非常識な男を苦笑交じりに起こしているわ。
 
みたところ、まだ20歳台の若さのようだけれど、キレイな顔立ちのわりに、 芯はしっかりしていそうね。

 こういう娘を使いこなせているこのクリニックは、案外、本物かもしれない。

 ここでなら、私の今の病気を治してもらえるかもしれないわ。“

冴子が砂場を起こそうとする間に、レイコの頭の中では、このような考えが巡り、状況を冷静に分析していた。

砂場の態度を非常識で無礼と感じるより、この型破りな心理カウンセラーなら...と、むしろ、頼もしいで受け取る度量が、レイコにはあった。

< 2 / 38 >

この作品をシェア

pagetop