インフォマニア・コンプレックス
そんなレイコの表情を、薄目を開けて、伺っていた砂場が突然に起き上がり、立ち上がって、挨拶を始めた。

「砂場心理クリニックにようこそ。
 私が、所長の砂場恍です。どうぞ、お掛け下さい。」

そう言って、砂場はレイコに椅子を勧めた。

“やっぱり、この砂場という心理カウンセラーは、自分のペースに患者を巻き込むために、初対面から狸寝入りをしていたのだわ。

 それも、カウンセリングの第一歩として、このアシスタントの女性も判っていて、敢えて、来客前に起こすことなく、こういう醜態を見せ付けていたのね。

< 3 / 38 >

この作品をシェア

pagetop