白緑蝶"ever since【続】
取り上げた空の携帯電話を
差し出す、卯月。

その携帯電話を取ろうとした
空は、卯月の指輪に触れ
細く長い指から、外した。

「いらねえだろう?
 俺が捨ててやる」

空の手にある指輪を見つめて
立ち尽くす卯月の手から
携帯電話を取る、空。

涙を隠し、歩き出す卯月は
瀬名の存在に気づく。

「シゲキ、あなた
 
 いつからそこに?」

「ついさっき」

「そう・・・」

卯月は、瀬名の横を通り過ぎ
帰って行った。

「やっと
 終わったみたいだな?

 言っただろう
 情けが仇(あだ)になる」

「みたいだな・・・

 セナ悪い
 ユラに電話したい
 
 あいつ
 きっと今頃、泣いてる」
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