白緑蝶"ever since【続】
私の手首を、ぎゅっと握り締め
自分が乗車して来たタクシー
へと私を無理やり引っ張って
行く、ソラ。

「嫌だよ

 嫌だったら」

ソラの手を振り解こうとしても
解けない。

手錠をかけられ繋がれている
ように頑丈で放せない。

「ソラッ、待てよ」

ソラの肩を掴む真澄の手を
退けるのは、穂澄。

「アニキ

 いいのかよ?」

かっちゃんは黙ったまま
頷き、私を見つめる。

「ヒワ

 行って、話して来い」

「話すことなんて・・・」

「いいから、行け」

私の声を遮る、いつも温厚な
かっちゃんの強い声に、私だけ
じゃない、真澄もお姉ちゃんも
驚いてる。
< 293 / 638 >

この作品をシェア

pagetop